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新版画の後摺りについて

ご存知のように浮世絵版画は絵師が絵を描き、彫師が版木を彫り、絵師と版元が立合いながら摺師が版木の上で紙を刷って出来あがるものです。江戸時代の浮世絵は一回で200枚ほど刷り上げたといわれています。商売ですから、人気のあった作品は何度か刷り増しをするのが当たり前でした。


 葛飾北斎の冨嶽三十六景や歌川広重の東海道五十三次、名所江戸百景などは何度も刷り増しがなされ、世の中にかなりの枚数が流通しています。これは木版画の特性で、版木を丁寧に使用すれば、ほとんど同じように作品を作り上げることが出来るからなのです。一般的に最初に刷られた作品は「初摺り」、オリジナルの版木から何回か刷り増しされた作品は「後摺り」と呼ばれています。ただし、実際には本当に第1回目に刷り上がった作品を断定することが難しいため「初摺りの手」とか「初期摺り」などと我々は呼んでいます。


 大正時代以降、浮世絵と同じ技法で製作した版画は今日では「新版画」と呼ばれています。この皆様もおなじみの新版画にも「初期摺り」と「後摺り」があります。この新版画の後摺りですが、浮世絵と同じでやはりオリジナルの版木から刷られた作品です。


 さて、オリジナルの版木ですが、これが案外と残っていないのです。まず、関東大震災でそれ以前の版木はすべて焼失し、第二次世界大戦では空襲により、震災以後のかなりの版木が犠牲となりました。また、戦後は資材が不足していましたので、版木自体の品質が悪いものが多く年代的には比較的新しくても使用できない作品もかなりあります。さらに一部の作品の版木は、何とも残念なことに戦後に削り直して新しい版木に使用されたとも聞いています。


 例えば、川瀬巴水が亡くなってからでもすでに45年が経過し、四季の気温や湿度に変化の激しい東京にあって、もともとは桜木の材質ですから経年の劣化も免れません。それゆえ、今日使用に耐える版木は極めて貴重といえるのです。


 版木を新しく作り直してしまったら、これは「復刻版」であって、「後摺り」ではありません。私達はあくまでこの貴重な版木を使用することにこだわっているのです。これらは後摺りの作品ではありますが、もちろん私達版元が立合い、摺師と研究を重ねて製作した自信作です。


 歌川広重の名所江戸百景の初摺りは一枚1000万円以上の値のつく作品もあります。しかし刷りの状態が悲しいくらい悪い後摺りは、同じ図柄でもその百分の一の値段にもなりません。これは版木の状態も悪く、版元も立ち会わず、摺師も真剣な仕事とはいえないものだからです。


 私達の「後摺り」は新版画の特徴を知り尽くした専属の熟練摺師と日夜研究を重ねて作り上げたもので、「初期摺り」に決して遜色のない出来映えを常に心がけています。この15年の間に刷り上げた後摺りには、画面の余白に朱色で縦型のひらがなで「わたなべ」という印章が押されています。これは平成年間に製作された作品という意味の、いわば「平成わたなべ印」です。「初期摺り」とはっきり区別をし、後摺りでも品質に自信を持って発表しています、という意志表示でもあります。


さあ、固い話はこれくらいにして、どうぞ新版画の世界をご存分にお楽しみ下さい。

 

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